日独ミニシンポジウム - Session 3-
ミッテルヘッセン工科大学経営学部は、2021年3月29日月曜日に、立命館大学の研究者を中心とする日本のグループとオンラインコロキウム第3セッションを開催しました。
まず立命館大学経営学部教授の山崎文徳教授が、日本企業の産業競争力と課題解決型の産業IoTというテーマで報告を行い、産業IoT の取り組みにおける日本企業と欧米企業の違いを明らかにしました。日本企業における研究開発プロセスは主として開発者と生産部門の間の強力でインタラクティブなネットワーク(チェーンリンクモデル)によって推進されており、欧米企業の線形型研究開発プロセス(線形モデル)とは性格を異にします。 また日本のIoTプラットフォームは閉鎖/完結を志向し、同一社内でさえ部門や工場ごとの独立性が高いのが特徴です。「ベストプラクティス」の原則に基づき可能な限り標準化されたIoTプラットフォームを使用し、オープンな連携で競争力を強化する欧米企業とは対照的であるといえるでしょう。
続いて「デジ真理」プロジェクトリーダーであるニルス・マデーヤ教授が、ミッテルヘッセン工科大学経営学部に新設された修士課程デジタルビジネス専攻について報告しました。最短で3学期の在学期間中に、学生はデジタル知識とマネジメントスキルを習得します。専門知識はもちろん、社会的スキルや方法論的スキルなど、職業人にとって必要不可欠な技能を幅広く身に着けるためのカリキュラムが用意されています。理想的なカリキュラムを実現するためにマデーヤ教授が特に重視するのは、地域の企業との連携です。学生は現場の最前線でインターンシップや修士論文作成のための研究を行うことができる。企業は最新の知識と技術を習得中の学生と共に課題に取り組み、イノベーティブな解決策を見つける機会を得られる。よい連携は学生にとっても企業にとっても素晴らしいメリットをもたらすはずです。
本セッションをもって全3回のミニシンポジウムシリーズは成功裏に幕を下ろしました。製造業のデジタルトランスフォーメーションに関する日独共同研究実現に向かって一歩前進することができ、「デジ真理」チーム一同とてもうれしく思っています。次の研究会は2021年10月に実施される予定です。